遺産相続でモメてほしくない
残された家族が相続で悩んだりもめたりしないように、きちんと対策をとっておきましょう。
Case1
相続財産が不動産メインの場合
ごくごく一般的な家庭のツヨシさん。奥さんと長男と長女の4人家族。子どもの教育資金(特に長女)にかなり費用がかかり、大きな財産としては、20年前に購入した自宅の土地と建物のみ。評価としては2000万円ぐらいありますが、預貯金は400万円ほどです。現在は年金でなんとか生活をしている状況です。子どもたちはそれぞれ独立をしているが、長男が最近起業し、資金的に苦しいという話を聞いていました。長女は生活に困っておらず、また県外にいるため会うのも1年に1回あるかないかです。もし自分が亡くなったとき、少しでも長男の事業の足しにしてほしいという気持ちはありますが、当然奥さんが今後生活していく家やお金を残しておきたいと考えています。しかし奥さんも預貯金がたくさんあるわけではないため、できれば奥さんに自宅だけは相続させたいと思っています。しかし自分が何もせず、3人で話し合いになった場合、3人の意見がまとまらないと相続できないと聞き、最悪もめてしまうと、もしかしたら自宅を売却することもあるかもしれないと不安になり、元気なうちに遺言書を作成することにしました。
内容としては、自宅の土地と建物を奥さん、残りの預貯金を長男に相続させるという内容にしました。もちろん長女には事前に話をしておき、長女も好きなことをさせてもらったからいいよと言ってもらいました。これで万が一があったとしても、安心して家族円満に過ごせることができるとホッとしました。
不動産が主な財産という方は多くの方がそうではないでしょうか?不動産はお金と違い、簡単に分けることができません。共有で不動産を相続することもできますが、権利関係が複雑になり、ひとりが反対するとどうすることもできなくなります。金銭的に困っていたり、仲が悪かったりすると、話し合いがまとまらないことも多々あります。生前に遺言書を作っておけば、お父様の意思を尊重することができますので、もめる可能性が少なくなります。当然遺言書があまりにも一方的だったり、不平等な場合には、逆にもめるきっかけにもなってしまいますが、もっとも大切なのは、家族で話し合いをしておくことです。そして話し合ったことをカタチにして残しておくことが、もめないための一番の秘訣です。
Case2
子どもたちの仲があまりよくない場合
マサコさんは、5年前に夫から自宅不動産と預貯金を相続しました。そのときは、3人の子どもたちも「お母さんがぜんぶもらえばいい」ということでまとまりました。しかし3人はあまり仲がよくなく、自分が亡くなったときは、うまくまとまるか心配でした。そこで、もめないために自分の意思を残しておくことがいいと思い、遺言書を書くことにしました。
長男には、自宅不動産を相続してもらうことにし、長女と二女には預貯金を相続させることにしました。不動産のほうが資産価値が高いため、万が一、長女と二女から言われたときに対応できるよう、生命保険を活用し、その対策資金を準備しました。 具体的な例として、不動産が2000万円、預貯金が2000万円の場合、そのままですと、長女と二女が1000万円ずつ相続することになりますが、自分が被保険者、受取人を長男にし、1000万円ほど生命保険をかけました。
こうすると、生命保険は受取人固有の財産となりますので、相続財産としては1000万円減り、相続財産は3000万円となります。そこから遺言書どおりに分けると、500万円ずつを長女と二女が相続します。二人から残りの500万円の要求があれば、その生命保険から500万円ずつ渡せば、全員平等に1000万円ずつもらったことになり、きれいに分配することができます。これはあくまで数字上の話ですので、できれば可能な限り事前に家族会議を開き、話し合って決めていくのがもっともよい解決方法です。